クラス図
クラス図は開発するソフトウェアを構成するクラス及びクラス間の関係を定義します。
クラス図は基本設計段階ではクラス構造の検討に、詳細設計段階では内部仕様の定義に利用します。
それぞれの段階に合わせクラスの表現粒度は適切に選ぶ必要があります。
特に、設計の最終段階ではコーディングに対する作成指示になるので、クラス構造だけでなくクラス名やメンバー名等についても確認する必要があります。
クラス図の書式
クラスを表す矩形を上下3つの部分に分けた上段に記入します。
属性(フィールド)
クラスが持つ属性を矩形の中段に記入します。フィールド名の前にクラスの可視性(メンバーに対するアクセス可能範囲)を表す記号(後述)を付け、フィールド名の後に:(セミコロン)を書きフィールドの型を記入します。
メソッド
クラスの振舞い、操作を矩形の下段に記入します。メソッド名の前に可視性を表す記号、メソッド名の後に戻り値の型を記入します。
クラスの可視性
アクセス可能範囲 | UMLの可視性記号 | 説明 |
---|---|---|
public | + | すべてのクラスからアクセス可能 |
protected | # | 同じパッケージ内のクラス、もしくはパッケージ外のサブクラスからアクセス可能 |
パケージプライベート(指定なし) | ~ | 同じパッケージ内のクラスからのみアクセス可能 |
private | – | 同一クラス内からのみアクセス可能 |
クラス間の関係
関連(association)
参照関係にあるクラス間を実線で結びます。
クラスの可視性はこの実線(依存関係では破線)の参照されるクラス側の端周辺にクラス名を、名前の前に可視性を付けて書いたり、実線の両端には多重度を書き、参照するインスタンスの数を明示することもあります。
多重度の表記
文字記号 | 説明 |
---|---|
n | 0以上でm及び*より少ない整数 |
.. | 範囲 |
m | 0以上でnより大きい整数 |
* | 0以上でnより大きい任意の整数 |
また、nが範囲記号を伴ってn..mないしn..*などと書かれれば、クラスのインスタンスがn個からm個まで、ないしn個から任意個まで参照される可能性がある事を表します。
集約(aggregation)
クラス間を実線で結び、全体側に白抜きのひし形を書きます。
部分側のクラスは、別のクラスからも参照される可能性があります。
ちなみにaggregationの意味は「(独立した部分を集めた)集合」です。
コンポジション(composition)
クラス間を実線で結び、全体側に黒塗りつぶしのひし形を書きます。
部分側のクラスは、他のクラスから参照される事はありません。
ちなみにcompositionの意味は「(すべてが一体になった)合成物」です。
依存(dependency)
影響を受ける(依存する)クラスから、影響を与えるクラスに矢印付きの破線をかきます。
影響を与えるとは、クラスが変更された場合、相手のクラスに影響が及ぶという事であり、依存の形態は、メソッド内で別のクラスのインスタンスを使ったり、メソッドの引数や戻り値に別のクラスのインスタンスを使う、などいろいろ考えられます。
実現(realization)
実装クラスからインタフェースに破線の白抜き三角形矢印を引き、ステレオタイプ<< interface >>をインターフェース名の上に記述します。
汎化(generalization)
一般化して作成したクラスをスーパークラス(親クラス)、一般化するクラスをサブクラス(子クラス)と呼び、一般化の方向(サブクラスからスーパークラス)へ実線の白抜き三角形矢印を引きます。
汎化によって定義したスーパークラスをもとに考えると、スーパークラスと類似の性質や働きを持ちながら一部特殊化した新たなサブクラスを派生させることが出来き、Javaの継承に相当します。
※「一般化する」するとは、ある物から特殊な性質を取り除き、多くに共通する普遍的な性質を抽出、概念化する事です。