地デジ普及のために

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地デジ普及が苦戦しているらしい。2011年半ばのアナログ放送終了を目指して普及活動に力を入れているとはいえ、20091月の時点でも普及はほぼ50%止まりと聞きます。現在日本にあるテレビ受像機は約12000万台といいますから、6000万台のテレビはまだアナログテレビだという事になります。一方テレビの販売はというと年間約1000万台ほどです。従って2011年のアナログ放送終了時に約4000万台のアナログテレビが残ってしまう可能性があり、それらは一度に粗大ゴミになってしまうのです。

普及が進まない理由は、地デジのアナログ放送に対する良さが分かりにくい、という事にあるようです。一般的に言えば、高精細で画像がきれい、電波障害音質劣化がほとんど無い、テレビ番組と同時にデータ放送の閲覧が出来る、青・赤・緑・黄の4色ボタンによる視聴者参加が可能、など機能の違いはあるものの、これらが直接番組の面白さに直結するわけではありません。そこで高精細等の新機能に関心がない人にとっては、来月から全てスイカ定期券だけになるので有効期間の残っている定期券を捨てて新規にスイカ定期券を買ってくれ、と言われている様なものでしょう。やはり新しく定期券を買わせるのであれば、地デジでなければ出来ない新しい、面白い、もしくはためになる番組が必要ではないでしょうか。

米国では大統領が直接国民にテレビを通して語る事が多いのに対して、日本では首相がテレビに出演する事がほとんど無く残念です。クリントン大統領は不適切な関係にあった女性について説明しましたが、福田首相がなぜ首相を辞めたのかは「私はあなたとは違うんだ」という事だけしか知らされませんでした。断片的なニース報道ではなく、その人の考え、思いを聞いて、判断したいと思います。米国では大統領がオバマ氏に代わり、土曜日の朝には定例で大統領演説が見られるそうです。日本でも首相自らこれをこうしたいと地デジを通じて20分国民に語りかけてはどうでしょうか。地デジならば必要なデータはデータ放送で流す事が出来るので、読み間違える事もないでしょう。そして残りの10分間で4つのボタンを使ってアンケート調査するのです。首相の演説に国民は即座に支持・不支持を示せる、首相も国民の反応を直接感じられるでしょう、これこそ今までに無い番組です。土曜の朝、国民が地デジの有効性を肌で感じられる番組を首相自ら作りだしてはどうでしょうか、これこそ地デジ普及の加速策だと思うのですが。

ホワイトカラーの生産性

ちょっとした対策

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今から15年ほど前に外資企業に転職して、戸惑ったことの一つは、仕事への取り組み方の違いです。私の取り組み方と、一緒に仕事をする外国人のそれが食い違っていました。たとえば顧客向けにプレゼンテーションするために米国本社から人を呼ぶような場合、私はプレゼンテーションを解説する事になるので、来日する米国人に事前に英語のプレゼンテーションを送ってくれと頼みます。「分かった。出来次第メールで送る」とは言ってくれるのですが、待てど暮らせどプレゼンは届きません。ほとんど来日する機内でプレゼンを完成させ、日本に着いて顔合わせた時に受け取るのが常でした。「何で米国人は約束通りに準備しないのだろう、自分だったら1週間前にはほぼ最終版を完成するのに」と初めのうちはイライラしました

しかし、ある時プレゼンの完成が本番直前になった事があり、あきれ返って彼に聞きました。すると「私はプレゼンの1分前まで内容を良くしたいんだ」という返事でした。彼は元々「一週間前にはほぼ最終版を完成する」などとは考えていませんでした。彼は、もちろん素材集めは十分やるのですが、納期までに十分な品質のものを一気に作る、その為に限られた時間の中で集中する、という取り組み方です。それに対し私は早めに全体像を八、九割がた作り、上司・先輩の意見を聞いて手直しを重ね、完成するという取り組み方です。時間はかかりますが、良いものを作るためには残業も厭いませんでした。日本企業では一般的な取り組み方だったと思います。

日本のホワイトカラーは勤勉なのに生産性は低いと言われています。「上司よりも先に帰れない」「職場に長くいる事で勤勉さをアピールしたい」などの職場の空気は変わってきていると思いますが、国際基準の生産性を目指すためには仕事の取り組み方自体を「時間をかけて良いものを作る」から「限られた時間の中で期待されるものを作る」に切り替える、そしてその為の技術を磨き、自分なりの工夫をする必要があると思います。

早い段階から試作品を作り、手直しを繰り返せば品質は良くなるでしょうが、時間を掛けたからといって最高のものが出来る保証はありません。場合によっては試作版への思い入れから発想が試作版を越えられなくなることもあるでしょう。ホワイトカラーの生産性向上には「限られた時間を効果的に使って最善を尽くす」という訓練が有効だと思います。またこれにより複数の仕事を同時に進めたり、仕事一辺倒でない時間の使い方が定着する事も期待できるでしょう。

日本人は豊か?

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日本人は豊かになっているのでしょうか?豊かさの基準が唯一所得ではないとはいえ、一般的な分かりやすい基準として所得を捉え、日本人の所得金額を調べてみました。厚生労働省のホームページに国民生活に関する各種調査の結果が開示されており、その中に所得金額帯別世帯割合というものがありました。これをもとに平成10年、11年そして18年の世帯当たり総所得分布を示したのが左のグラフです。ちょうど年収500万から600万円の所得帯を境に高額所得層の世帯が減少し、低所得層の世帯が増えています。この傾向はバブル崩壊後もつい最近も変わっていません。要するに日本は毎年貧しくなっているのです。世界同時不況の今、この傾向は今後ますます加速するのではないでしょうか。

昔「所得倍増」をスローガンにした政治家がいましたが、今の政治家は国民生活がどのような現状で、どういう傾向にあるのか、それを踏まえて自分は何をする、というような考えはないのでしょうか。政府の発行している統計を少し加工するだけで分かる事も多いのです、どこかで仕入れた人の言葉で国民生活を語るのではなく、自分の目で見て考えてほしい。そして自分の対策を語ってほしいと思います。

さて、人の批判はこれくらいにして、せめてもの対策として「最低賃金」を労働の安全網として活用すべきと思います。日本の労働者の最低賃金は最低賃金法によって定められていますが、どこまで有効に運用されているか疑問です。第一最低賃金自体が安いのです。業種地域によって最低賃金は異なるのですが、目安として東京の平成20年度の一般労働者の最低賃金は766円です。これでは一日約6,100円、月額122,500円、年収1,470,000円にしかなりません。一方、日本の生活保護費は全体で2.5兆円、受給世帯総数142万世帯と言われるので、1世帯当たり生活保護費は年間180万円になっていることになります。これでは働けない人の最低生活を支える生活保護と働く人の最低生活を支える最低賃金が区別できなくなって、お互いに機能しなくなります

働けるにもかかわらず働くよりも生活保護を受けたほうが良い、と考える人が出ないためにも、少なくとも労働して得る最低賃金は生活保護と同じ水準であるべきです。もしその水準の賃金を払うと採算が取れなくなるような仕事があるとするなら、その仕事自体の社会における必要性を見直す必要があるでしょうし、基本的に最低生活が出来ないような低賃金で人を雇用してはいけないと考えるべきではないでしょうか。

平和祈念展示資料館

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平和祈念展示資料館に行ってきました45年前から時々地下鉄の車内広告で水木しげるの氏の絵による資料館の案内は見て、気にはなっていたのですが、展示目的が「今次の大戦における戦争犠牲を明記し、関係者の労苦について国民の理解を深める」ということで、何か政治思想的な背景もあるような気がして、なかなか訪れる事ができませんでした。

資料館は昭和63年制定の「平和祈念事業特別基金等に関する法律」により設立された平和祈念事業特別基金によって常設の展示場として設立されたとの事で、現在は独立行政法人が運営主体になっています。展示は関係者を恩給欠格者、戦後強制抑留者、引揚者の3つに分け、それぞれの方々の労苦を忠実に語り、展示するという姿勢でした。

今回初めて知ったのですが、恩給欠格者とは旧軍人・軍属の内在職期間が定められた年限(兵、下士官12年)に達しない等の理由で恩給や年金を受けられない人たちの事だそうです。国のため、家族を残し、命を賭けて戦務に従事した人々の労苦は在職期間の長さで区分けされるものなのでしょうか。国が決める制度の理不尽さを改めて感じました。

また強制収容された約60万人のうち約1割の6万人近くが亡くなったそうですが、単なる数字ではなく細かい字で記録された20冊近いバインダーの死亡者リストを手に取ると、亡くなられた方々の無念さを感じられる気がしました。その他展示場の広さはさほど広くはありませんが、当時の写真や日誌、遺書、遺品など一つ一つ足を止めざるを得ないものがありました。

「戦争反対」を叫ぶためにも我々の親、祖父の時代の戦争がどの様なものであったかを、たとえ展示であれ自分の目で確認しておく必要があるように思います。実際にシベリアに抑留されていたという80歳を越えた方(当時は20歳後半だったそうです)がボランティア説明員をされていましたが、これらの方々の体験を聞き、記録できるのもあと限られた年月だと思います。戦争反対を叫ぶためにも、戦争における事実を知る必要があると思うのです。資料館は西新宿の新宿住友ビル48階にあります。

歴史教育

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経済混迷の陰に隠れ、目立ちませんが中東のパレスチナ自治区ガザの復興がイスラエル軍の停戦後も一向に進まないようです。と言っても、イスラエル、パレスチナというだけで日本人には縁遠く、何がどうなって今に至っているのかが分かりません。最近の事は知りませんが、私が受けた歴史教育は年号教育でした。事件が起こった年号は教えられるのですが、事件と事件の関係、何でその事件が起こったのかを教えられた記憶がありません

「戦争は反対です」と多分ほとんどの人が言うでしょう。しかし何で日本が太平洋戦争に突入し、敗戦を迎え、戦後の混乱の中でどのような事件が起こったか、説明できる人は少ないでしょう。しかし事件がどのように組み合わさって戦争が起き、それがどのような事件に繋がっていったのかを知らずに「戦争反対」を叫んでも、戦争抑止力としては弱いでしょう。そのような意味から太平洋戦争から現在にいたる事件のつながりについては関心があり、自分なりに書物を乱読しているのですが、パレスチナ問題となると旧約聖書、史実らしい事件に限ってもBC19世紀頃まで遡らなければならないので、とても自分で勉強する気になりません。

ところがパレスチナ問題について非常に良い本を発見しました。題名も正に『まんが パレスチナ問題』(山井教雄著 談社現代新書740円)と言います。山井氏はテレビCFの企画、制作をへて渡仏、教育ビデオの制作、日本語教師を経て、帰国後新聞・雑誌に漫画を連載、91年に文春漫画賞を受賞する等、非常に多彩な方のようです。そのせいかこの本(“まんが”というよりイラストで解説する、といった体裁です。)が実に分かりやすい、4,000年間の事件の繋がりを半日で教えてくれます。なぜモーゼは紅海を割って道を作る必要があったのか、アレキサンダー大王とクレオパトラの関係、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の違いと類似点、十字軍って何?といった歴史クイズのネタになりそうな何となく知っていて、実は何も知らない事を順に教わります

山井氏の執筆動機は「世界各地で民族主義は過激なテロリスト・グループと結び、国際的な大規模テロを起こしています。この民族主義とテロを結び付ける、一番の病根がパレスチナにあり、(中略)この複雑で長い紛争を、なるべく分かりやすいように、やさしく、丁寧に解説して、少しでも理解していただければ」という事だそうです。ここまでの問題意識で出版された本に出会えたので、40年程前の不問な年号歴史教育に使った時間を取り戻した気分になりました。是非一度立ち読みして、内容を確かめていただくと良いのではないでしょうか。

語学教育

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30年ほど前仕事で訪れたデトロイトで、ホテルのレストランでウエイターとして働く韓国人の活力に驚きました。もちろん、日本人も多く世界で活躍していたのだと思いますが、個人として独立独歩、米国人相手に働いている姿に自分の物見遊山+αとの違いを感じたのです。中学から大学まで10年間英語を勉強したにもかかわらず当時の私には米国人相手にウエイターをするなど考えられませんでした。

先日、韓国のソウルに行ってきたのですが、ウォン安、円高で日本人観光客が多いためももちろんあるのでしょうが、市内の食堂、デパ地下などでもほぼ日本語が通じることに驚きました。やはり語学は必要に迫られて習い、使われてゆくのでしょう。学問と考えると正しい用語、正しい語順、正しい発音を習わなければ、と肩に力が入ります。しかしコミュニケーション手段としての言葉は、もちろん正しいに越したことはないでしょうが、タイムリーに話す事が第一です。多少発音が悪かろうが、用語が粗雑であろうが必要な時に言葉に出さない限り、意味はありません。と考えていくと日本の語学教育は目標設定に誤りがあるように思います。語学の専門家を育てるのではなく、一般人のための語学教育は日常的な場面での外国人とのコミュニケーション準備を目標とすべきではないでしょうか。

さて、日本への外国人旅行者は円高の昨年も増加を続け835万人に達したそうです。左の図にあるように、その内訳は韓国、台湾、中国と非英語圏が続き、英語圏は米国が4位、豪州が6で意外にその割合は多くありません。これからすると「必要に迫られて」習う、使うべき言語はハングル語であり、中国語(中国語にも多種類あるそうですが)なのかもしれません。語学教育の目標を日常的な場面でのコミュニケーション準備ととらえれば、それほど高度な内容が必要なわけではなく、それぞれの言語に触れる事こそ必要です。

「これからはアジアの時代だ!」とお題目を唱えるのではなく、語学教育の初期段階でハングル語、中国語、英語の日常場面の会話を同じように教えて、その上で一つの言語を選択させる、というような教育法が日本人の国際社会の中での活力を高めるためにも必要ではないでしょうか。英語一辺倒の語学教育自体をその目標から見直す必要があるように思います。

英語教育

社会問題

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一緒に仕事をしたインド人から聞いたのですが、インドには主要な言語だけでも20以上あり、一つ一つ言語を数えあげたらキリがないそうです。だから英語が旧宗主国(英国)の言語だという理由からでなく、共通語としての必要性から子供が生まれると母国語(彼の場合はヒンディー語)と同時に教えるのだそうです。

日本では「母国語がちゃんと喋れないのに外国語を教えるのは子供に混乱を与えるだけだから良くない」という人もいるのだが、と聞いてみたのですが、彼は「そんな事あるかな?早ければ早いほど良いのじゃないですか」という意見でした。学術的な真偽は分かりませんが、帰国子女の英語力をみると明らかにリスニング、スピーキングは10歳以前の経験がものをいうように思います。

ところで、小学校での英語教育の義務化が検討されているようですが、あまり「教育」と肩に力を入れて議論しない方が良いのではないでしょうか。英語教育などというと、やはり体系的に文法を習い、単語を覚えて、読み書きができなければ、という事になってしまいます。その教育法に意味のない事は、われわれ戦後の英語教育を受けた人たちの英語力が証明しています。

英語教育の目標は何でしょうか?皆が英語の専門家になるわけではありません。英語教育の目的は国際化した現代にあって、外国人と会った時に国際人として胸を張って普通に挨拶が出来て、道案内だとか、物の売り買いだとか、日常の付き合いとしての会話ができることではないでしょうか。そうだとすれば最初は体系的な学習よりも決まり文句の丸暗記とオウム返しの練習です。そのレベルのリスニング、スピーキングが出来れば最初は良いのです。そして、それが出来れば体系的な学習を行う時に効率も上がるはずです。「教育」などというと、やはり“どうあるべきか”と議論しがちですが、まずは丸暗記とオウム返しの練習、教育ではなく手習いだとすれば、外国語教育が母国語の習得の妨げになるなどの議論は不要でしょう。ここまで一般人のレベルで海外との行き来が頻繁になった現代、国際人としての日本人を育てるために、意味のある英語教育をすぐに小学校から始める必要があるのではないでしょうか。

高速鉄道

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世界の「鉄道」が見直されている中、日本の鉄道技術を世界のために役立てられないか、下世話に言えば商売にできると良いのでは、国はその為の支援をすべきではないか、という事を書きました。今日はでは何をすればよいのか、という提案です。

新幹線そしてリニアモーターカー、私はずっと日本の鉄道の高速走行技術は世界一だと思っていました。しかし山が多く直線距離の短い日本の新幹線の運行速度は既に世界一ではなく、先日発表された東北新幹線の時速320キロ運転(2012年予定)でさえ時速350キロ運転を想定する世界の高速鉄道計画では世界の要求に達していないそうです。このままでは高速運行実績でも、フランス、ドイツ、そして中国に遅れをとる事になり、実績がモノをいう大規模商談でますます不利になるでしょう。

だからと言って、時速500キロの実績作りのために経済性に疑問のある、リニアモーターカーによる東京―大阪間の第二新幹線建設を簡単に決断するわけにはいきません。たとえ作るにしても完成までに長い年月が掛かるでしょう。限られた費用で、短期間に、高速運行実績世界一を取り戻すアイディアが必要です。確実な需要が見込め、建設費用も抑えられ、リニア鉄道の実用運行をアピールできると建設区間はないでしょうか?

一つのアイディアですが北海道の千歳空港と札幌間にリニア鉄道を建設してはどうでしょうか。距離は直線約40キロ、途中に大きな山もなくほぼ直線の路線が確保できるでしょう。距離が短く、北海道ですから土地収用費用も国内では格安のはずです、区間の3-4割は自衛隊基地や演習地ですから土地の収用交渉も容易で、短期間で建設が可能でしょう。また札幌と東京および他の都市間が飛行機のドル箱路線であることを考えれば、確実な需要が期待できるでしょう。さらにこの区間は積雪も想定されるので、軌道上100mm浮上する日本の超電導方式リニアの優位性をアピールできます。

投資を抑え、採算をとりながら、いち早く世界に誇れる鉄道の高速営業走行実績をつくり、日本の産業の国際競争力を高める。さらに地方活性化の公共投資にもなる。投資効果は十分あると思います。政府は大局的見地から、日本の産業構造を変え、国際競争力を高める具体策を示し、民間の投資を活性化し支援する。これこそが将来につながる不況対策ではないでしょうか。

国としてやるべき事

社会問題

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ドイツのハノーバーでの仕事の帰り、フランクフルトまでの飛行機便が暴風雨のため搭乗直前にキャンセルになり、空港からハノーバーまで戻ってICEというドイツの都市間高速列車に乗り換え、フランクフルト空港駅から日本への便に乗った事があります。このような運航の信頼性や休日などには自転車ごと列車に乗れるなどの利便性から、ドイツでは鉄道も交通手段の一つになっているようです。

近年原油価格の上昇や地球環境保全の必要性から「鉄道」が世界的に見直されています。日本は新幹線に代表される高速運転技術の実績、運行時間の正確さ、鉄道網の充実度で、「鉄道」の質、量とも世界一でしょう。この技術と実績が世界の「鉄道」復権に貢献できればすばらしい事です。さらに自動車と違い完成車両の輸出だけでなく、安全管理システム、運行ノウハウなどの情報・サービスまで含めた輸出産業として成長できれば、日本の産業構造を変革する一助にもなるでしょう

ところが日本の鉄道産業は国鉄に代表されるように長く国の管理下にあり、国内で質・量を高めた反面、車輛製造、運行システム、運行管理を一括する企業がないこともあり、海外での実績はほとんどありません。世界の鉄道企業トップ3はフランス、ドイツ、カナダの会社で、実績がモノを言う大規模ビジネスの「鉄道」で日本の鉄道企業が束になって取り組んでも、これから競争に勝ち、実績を積み上げるのは大変だと思います

事情は少し違いますが、NHKが東京オリンピックの後から研究を重ね世界に先駆けて発表したハイビジョン。これも世界統一規格にしようとNHKは精力的に活動しましたが、結局は各国の政治的思惑などにより日米欧が別々の規格になりました。やはり相手の国にとっても大きな判断になる国際的な大規模ビジネスでは積極的な国の関与なくして成功する事は出来ないでしょう。欧米の国々は国家元首自ら私企業の名前を挙げて製品やサービスを売り込む事があります。戦闘機などの軍需物資は困りますが、日本の産業が世界に貢献でき、さらに日本の産業構造変革にもなる、重要なビジネスチャンスには政府も行政も積極的な日本のセールスマンであってもらいたいものです。高度成長時代には国が5カ年計画を立てて産業育成を主導しましたが、今は国の将来のために必要な民間の取り組みを、国としての意志と実行力を持って選択的に支援するのが“国民の奉仕者”としての姿だと思います。

尋ね人

社会問題

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私が小学校の低学年、ですから1960年(昭和35年)頃ですが、NHKのラジオで「尋ね人の時間」という番組がありました。学校から帰りおやつを食べていると聞こえてくる、満洲からの引揚者や戦争で行き別れた人を尋ねる便りをアナウンサーが感情を押さえて紹介する番組です。まだ深い事の分からない年頃でしたが語られる状況への関心からか妙に印象に残っています。はたして自分を探す12分の便りを運良く聞いて、相手と再会する事が出来た人はどのくらいいたのでしょうか?

ところで20年以上前になりますが、私は仕事の関係で米国の中西部オクラホマ州在住のアメリカ人と知り会いました。親しい付き合いが続きましたが、私が転職し仕事の関係がなくなると、手紙のやり取りも少なくなり、10年ほど前に音信は途絶えてしまいました。それが先日、彼の名前だけを頼りにメールのやり取りを再開する事が出来ました。アメリカでは大学生のプライベートなネットワークを作るフェースブックというSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)が2004年にスタートし、2006年には一般公開されて人気を呼んでいます。私が利用したのはこのサービスの企業人版ともいえるサービスです。このサービスを使えば求職者がメールアドレスの分からない企業の重役などに自分を売り込むメールを送る事が出来るのです。もちろん名前が分かっていれば、転職や転居で連絡先の分からなくなった人を、名前を頼りに発見する事が出来るのです。私の場合、彼がドイツ系の特徴ある名前だったので一発で彼を発見する事が出来ました。しかし同姓同名の人が多数発見されても以前の勤務企業名や住居所在地で探している人を特定する事ができます。尋ね人の名前を入力してから数秒の、まさに一瞬の出来事です。このような従来の方法では不可能だった事がIT(情報技術)で可能になりました。

日本ではデータ通信のほとんどは迷惑メールだと言われています。またインターネットには闇サイトだとか裏サイトと呼ばれる悪質な利用もあります。だからと言ってITの可能性を否定するのではなく、高度成長期の多くの公害問題を地道な努力で改善したように、機敏で適正な法規制と、有効なIT利用法の啓もうによってIT本来の効果を皆が享受出来る様にしたいものです。

品位の無い暴言

まさか!

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民主党前原誠司副代表の24日の予算委員会での麻生総理に対する質問が不評のようです。品位の無い暴言、実質的議論になっていない、というのが大方の受け取り方のようです。しかし、そうでしょうか?もともと国会での質疑に品は必要でしょうか?

問題の部分だけ見てみると、前原氏が「麻生総理は“やるやる詐欺”の常習犯。選挙やると言ってやらない、道路財源の一般財源化も、やるやると言ってやらない。」と批判したのに対し、「詐欺は犯罪者扱い。これは犯罪ですか。」と切り返しました。首相は発言したことを実行しなくても大した罪ではない、と言いたかったのでしょうか。少なくとも詐欺師扱いされるような不誠実な行為でないと考えているようです。時の首相がそのように考えていることが明らかになっただけでも意味のある質問だったのではないでしょうか。

国会の議論では上品に真意を隠した議論などは不要で、もちろん殴り合いだとかの暴力行為は困りますが、率直な言動で相手の本性が明らかになる方が、議員の評価をしっかりと出来て良いのではないでしょうか。アメリカの大統領選挙では、対抗陣営どうしスキャンダル合戦を含め口汚く罵り合う事さえあります。そしてその時の対応の仕方でトップ候補が選挙から脱落したり、ダークホースが最終的な候補になったりします。国民は各候補の本性を早い段階から知れる訳です。だから国の指導者になってから「えっ、そんな人間だったのか!」という事が少ないように思うのです。品位がない議論、大いに結構、もし品位がないだけでなく質問に意味がなければ、質問者を次回の選挙で落とせば良いのです。「それはいかがなものだろうか」など持って回った、他人事のような表現こそ排除して、国民に意味がそのまま分かる率直な議論を展開していただきたいものです。その為には自分のことを俺、俺と発言するのと大差のない品の無い表現ぐらい我慢しようではありませんか。

本当の不況対策

社会問題

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麻生首相は「安心と活力のある社会」をキャッチフレーズ「世界で最初にこの不況から脱出することを目指す」と力強いですが、自身の信じる景気回復の方針が何なのかさっぱり分かりません

「日本は金融が破綻していないので、アメリカとは違う。」というのでしょうか。しかし今までの日本の成長がアメリカの消費、直近では住宅バブルで膨らんだ過剰消費に支えられていた事を思えば、単純に考えてアメリカの景気が回復して、元のようにジャブジャブ消費してくれない限り日本の輸出依存の景気は回復しないのではないでしょうか。定額給付金で景気が回復すればラッキーですが、日本のバブル崩壊を思い起こせば、アメリカの消費が住宅バブル真っ盛りの水準に戻るという保証はないかもしれません。

2次オイルショック、円高不況、と高度成長期以降の不況時には景気回復の策として「内需拡大!」「輸出主導から国内消費主導へ!」と製造業中心の産業構造の転換が叫ばれました。しかし終身雇用を信じ、会社は家族と思った我々はQC活動に精を出し、サービス残業をいとわず、生産性向上に努め、何とか不況を克服してきました。しかしそれは結果的に産業構造の転換を遅らせてしまったとも言えるでしょう。1970年から2001年までの日本国内総生産の産業別割合を調べてみました。第一次産業(農林水産・鉱業)と第二次産業(製造・建設・電気・ガス・水道)が減少し、第三次産業(情報通信・金融・運輸・小売・サービス)が増えているとはいえ、95年以降を見れば第二次産業の占める割合はほとんど変わっていませんでした。要するに輸出主導の体質はほとんど変わっていないのです。

今回の不況を考えると、今までと同じようなコスト削減努力重ねたとしても、アメリカが消費してくれなければ輸出主導の景気は回復しません。産業構造の変革という根本的な対策を先延ばしにしてきた日本は今回の不況をチャンスと考えるべきなのかもしれません。産業別割合を見てみると日本に一次産業はほとんどなくなってしまいました。我々は一次産業から二次産業、そして三次産業へ発展するのが良いという考えに毒されていたのかも知れません。ヨーロッパの主要国の中でフランス、イギリス、スペイン、オランダ、ベルギーは意外にも重要な産業のトップ3に食品を位置付けているそうです。日本でも各産業がバランスする事によって、国民の暮らしは安定し、活力のある社会が実現され、結果として内需が拡大し、国内消費主導の経済が実現されるのではないでしょうか

気付け薬の定額給付金も結構ですが、構造的な大病にかかった日本に住む我々は信頼のおける診断結果と処方を聞かないと、それだけで不安になり病気が悪化するように思います。

 

時代に合わない雇用保険

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日本では長期の比較的安定した政治体制のもと、大きな変革のないまま歳月が経過し21世紀に入って流石に時代にそぐわなくなった法律や公共投資計画が問題になってきています。受益者と想定される人々が「いらない」と言っているダムや橋などの公共工事を熱心に初志貫徹しようとする行政の価値観は理解不可能です。これらの具体例については今更挙げるまでもありませんので、時代にそぐわなくなった法律の例を見てみましょう。

サラリーマンにとって税金と同じように給料から天引きされている雇用保険料、毎月基本給の6/1,000が天引きされています。雇用者もほぼ同額を負担する事になっているので、給与の約1パーセントが確実に毎月国に納められていることになります。この雇用保険の目的の一つは「失業中の生活を心配しないで新しい仕事を探し、1日も早く再就職できるよう、(中略)失業等給付を支給しております」となっています。終身雇用が保障されない時代にあって、現在の仕事に見切りをつけて転職しようとした時に生活の心配をすることなく、新たな仕事が探せるのであれば、まさにありがたい事だと思うのですが…

失業給付は離職時の賃金日額を19段階に分け、各段階の手当日額はそれぞれの賃金日額に係数(80%~45%)を掛けて決定します。しかし、さらにこの給付には賃金日額に15,460円、それに対応した手当日額に7,730円という上限が決められているので、実際には年収が5,642,900円(=15,460x 365日)以上どんなに多い人でも一日あたり7,730円(44歳以下ないし60歳以上はさらに少ない)しか支給されないことになっているのです。年収に直せばわずか2,782,800円、これでは40歳以上の役職者の場合、失業給付金額が離職時の給与の2割以下という事もあるのではないでしょうか。さらに支給期間は一般的には90日、長くて150日でしかありません。また雇用保険には申請後3ヶ月間の給付制限期間という意味不明の制約があり、最初の給付を受け取れるのは申請後四カ月過ぎてからです。

これではよほど有望な仕事が事前に見つからない限り積極的に転職するなど出来るわけがありません。雇用保険法は第二次世界大戦直後の昭和22年、皆が飲まず食わずの時代に制定された失業保険法を元に、高度成長末期の昭和50年に制定されたと聞きます。毎年基本手当日額は勤労統計に基づいて改定されるとはいえ、賃金日額・基本手当日額それぞれの上限設定などは基本的に変わっていません。政府も行政もこれで「生活を心配しないで新しい仕事を探せる」と言うなら、詐欺商法と大差ありません。少なくとも最初に実際の給付はこうなると説明し、せめて雇用保険への加入を強制ではなく選択制にすべきではないでしょうか。庶民感覚の無い政府や今でも終身雇用の保障された公務員には切実でない事かもしれませんが、それが公僕としての誠意だと思うのです。