適者生存

まさか!

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サンマの季節になりました。

北海道産のサンマは今、脂がのって塩焼きはカボスを絞って美味しく食べられます。当分週末はサンマを買いに魚屋さんに行く事になるでしょう。

そこで、魚屋さんで店先の魚を見ているとトビウオが目に入りました。トビウオはサンマより早く初夏から夏が旬の魚です、竹輪などの練りものや、クサヤの材料になりますが、地物は刺身で食べると身の柔らかいところと、しまったところのとりあわせもあり、美味しいものです。そのトビウオを視ているうちに不思議な事に気がつきました。左の写真にあるように上下の尾びれの形が非対象で、明らかに下側の尾びれが大きいのです。見た目には2倍近く下側の尾びれが大きいようです。釣った時に千切れてしまったのかとも思いましたが、どのトビウオも下側尾びれが大きくなっています。

魚屋さんの話では2-300mは飛ぶそうで胸びれを広げてグライダーのように飛翔する姿は何かで見た事がありますが、尾びれがどうなっていたか、までは気に止めていませんでした

家に戻り調べてみると、トビウオは水中からミサイルのように飛び立つのではなく (当たり前ですが) 胸びれを広げて半身を水面から起して、尾びれを左右に振りながら、尾びれで水面をたたいて助走します。その様はモンローウォークのようです。そして波の落差を利用して水面を離れるようです。この様子が英国BBCニュースのウェブサイト

http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/7410421.stm

にあり、その動画から切り取った画像が左下の写真です。

従って助走の為には尾びれが上下対称よりも、下尾びれが大きい方が力強く水面をたたける。何とも理にかなっています。

ではなぜトビウオは空を飛ぶのかですが、自分より大きなマグロなどの捕食魚から逃げるためだと言います。こう見るとあたかもトビウオは捕食魚から逃げるために胸びれが大きくなり、尾びれの上側だけが発達し、胴体も角の丸まった四角い断面の新幹線のような弾丸型になったのだろうと思ってしまいますが、学問的には進化は目的を持って行われるわけではないので、(キリンは高いところの葉っぱを食べるために首が長くなったのではなく)、進化は偶然的で、たまたま長い首のキリンの方が木の葉っぱを食べるチャンスが多く、生存に好都合だったので、より多くの子孫が残せ、いつの間にか長い首のキリンばかりになってしまった、と考えるべきだと言います。つまり適者生存です。と考えるとトビウオの誕生も人間のそれと同じような長い時間が掛ったように思えてきます

温室効果ガス削減目標

社会問題

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鳩山首相の国連での演説が評判です。

朝日新聞で演説案全文を読みました。演説案となっているのは実際の演説は英語で行われたからだと思います。手前味噌ながら、私もブログの617日『国際交渉』で麻生首相の発表した温室効果ガス削減目標では国際交渉をリードできないとして、今後の配慮点を指摘しましたが、鳩山首相の演説はしっかりとポイントを押さえ堂々と主張していて今後への期待を感じさせました

演説は“温室効果ガスの削減目標“途上国への支援“結び3章構成で約2,500一工夫ある表現も好感が持てます。いくつか紹介すると、“削減目標では、「先進国は、率先して排出削減に努める必要がある(米国、中国への牽制)」「温暖効果を止めるための科学が要請する水準に基づくものとして中略…25%削減を目指します(出来る事をするのではなく、必要な事をする)」「我が国のみが高い削減目標を掲げても、気候変動を止めることはできません (このポジティブな表現は交渉の手本)」「すべての主要国の参加による意欲的な目標の合意が、我が国の国際社会への約束の前提となります(論理に破綻がなく、これに反対するのは困難)」

“途上国への支援では「これまで以上の資金的、技術的な支援を行う用意がある(まず前向きな姿勢)」「公的資金が民間投資の呼び水となる仕組み作りについての検討を進めたい(その上でクリーン・エネルギーの導入を商売にしたい、という意図を示したと思う)」

“結びでも「革新的技術を生み出しつつ、その削減を実現してゆくことこそが、求められている役割(果敢に新技術に挑戦しなければいけない)」「産業革命以来続いてきた社会構造を転換し、持続可能な社会を作ることこそが、次の世代に対する責務中略まだ見ぬ未来の子供たちの為に、我々世界の政治指導者が大きな決断をしたと言われるような成果が上がるよう、ともに協力する事を皆様に強くお願いしたいと思います(これでは聴衆は拍手するしかないでしょう)」

一方、25%目標については一部の産業のトップからは実現不可能、産業は空洞化する、など否定的な意見も出ています。しかし日本の自動差産業が世界一になるきっかけとなった米国の大気汚染防止の為のマスキー法に対し、米国の自動車会社は実現不可能、コストが掛かり過ぎると反対しました。マスキー法は5年以内に一酸化炭素、炭化水素を10分の一以下にするという厳しいものでした。それに比べれば、なぜ10年先の25%削減について十分な技術的検討もする前に否定的な発想をするのでしょう。そのような企業はGMやクライスラーと同じ運命をたどるのではないでしょうか。そういえばJALがまさにGMと同じように見えてきました。

営業手法

体験的営業技術

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15年ほど前になりますが、技術職から外資企業の営業職に転職した動機の一つは、それまで勤めていた会社の営業方針・方法への疑問でした。

成功した製品、成功した販売手法にこだわる営業部門と、新しい製品を出したい技術部門とでいろいろと議論を重ねましたが、営業経験のない私が営業部門を説得するのは困難でした。そこで違った環境で営業を経験してみたい、と考えたわけです

それまで何かを販売した経験はありませんでしたが、技術として営業活動の一翼を担った経験はあり、営業として何をしなければいけないか、という自分なりの考えはありました。とはいえ私はその後の仕事の中で、営業の「手法」を身に付けたといって良いでしょう。

一方、最近は「手法」の勉強が盛んで、営業についても

1.  見込み客の選択

2.  見込み客へのアプローチ

3.  販売する商品のプレゼンテーション

4.  顧客から注文を受ける

といった作業手順として勉強している人がいます。例えばアプローチでは顧客との信頼関係を築かなければいけない。プレゼンテーションでは現状の問題を指摘し、顧客と問題を共有する。といった具合で、それぞれ正しいとは思いますが、現実には相手(顧客)側の都合もあるわけで、1、2、3とこちら側の手順を進めれば、受注に繋がるという訳ではありません

手順を理解する事は大事ですが、それぞれの段階の目標を理解し、その目標に到達するための、いろいろな手立てが考案できるようになる事が、手順を理解するという事です。それには頭で考えるだけでなく、実際の顧客対応の中で試行錯誤し会得するしかないと思います。

そこで、営業の技術について私が感じた事、経験的に有効と思う方法をまとめてゆきたいと思います。「手法」を勉強しても現実とのギャップの中で戸惑っている人たちの参考になれば幸いです

防衛費

社会問題

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以前紹介したCBSドキュメントで先日、無人軍用機のレポートがありました。レポートによれば既にアフガニスタンに実戦配備され偵察だけでなく、戦闘攻撃にも成果を上げているとのことです。驚く事にはリーパー(“死神の意)という無人機はアフガニスタンに配備されているのですが、それを操縦するパイロットは1万キロ以上離れた米国ネバダ州の基地の中にいて、そこから遠隔操縦しているのです。

ほぼ地球の裏側ですから朝自宅で朝食を取り、車で基地に出勤し、戦闘開始するわけですが、アフガニスタンでは真夜中の戦闘という事になります。パイロットによれば実機に搭乗するよりも冷静に戦う事が可能という事です

リーパーは米国が1990年代から開発を始めたプレデター(“捕食者の意)という無人偵察機を大型化し攻撃機としたもので500ポンド爆弾やミサイルを搭載し、15千メートルの高度飛行、15時間の滞空が可能で、さらに空中の眼という1億円の高性能カメラを機首下部に搭載3千メートル上空からでも鮮明に地上の目標を確認ができるというのです。

米空軍はリーパーを28機、プレデターを116機配備しており、2010年には無人軍用機の調達が通常軍用機のそれを超えるそうです。これは11億円といわれる機体価格の安さによるのでしょう。ちなみに、航空自衛隊の主力戦闘機F15は機体価格85 – 102億円と言われています。

今回の衆議院総選挙では共産党が聖域なき予算の見直しとして5兆円の防衛費を挙げていました。国防に対する考え方は人により違いがあると思いますが、数多くの離島や、長い海岸線を警備する必要がある以上。そのための装備、戦略について専門家任せにし、無関心で良いのでしょうか時代遅れや現実的には役に立たない装備に大金を投じている事はないのでしょうか自衛隊がどのような戦略を持ち、どのような装備を考えているのか防衛省も納税者に説明する義務があるのではないかと思います。

高速道路とフリーウェー

提案!

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与党の高速道路無料化政策が話題になっています。総選挙前と違って、渋滞が増える、CO2の排出が増える、と政策に反対する声が大きくなっています

確かに、土日のどこまで行っても1,000円政策で判明したように、渋滞が起きればCO2の排出が増えるのは確かですが、一般道路を含めた道路を走る車が突然増えるわけではないので、前原国土交通大臣が言うように社会実験によって効果を見極めて導入すれば良いのではないでしょうか推測で無料化政策の善し悪しを言うのは、机上の効果予測で利用率の低い高速道路を作り続けてきた過ちと同じ事だと思います。

無料化による一般道路と高速道路の包括的な混雑率の変化は社会実験による調査に期待するとして、高速道路を無料とすれば、その性格を変え、もっと有効に使えるのではないかという点を考えてみたいと思います。

私が以前勤めていた会社の本社が米国西海岸ロサンゼルスからフリーウェーを車で40分ほど南東に下り、フリーウェーを降りて一般道を15分ほど行ったサイプレスという町にありました。このフリーウェーですが、日本の高速道路との違いは、無料だというだけでなく、一般道との出入口が頻繁にあるという点も大きく違います

左図の会社に向かうフリーウェーの出口(左上の赤丸の位置)周辺を見てもが3キロから6キロ間隔で一般道との出入口があります。これは料金所がないので、フリーウェーから分岐すれば、そのまま一般道に接続できるためだと思います

これはロサンゼルス周辺に限った事ではなく、ダラスでも、シカゴでも、タルサでも、シアトルでも同じ事でした。アメリカのフリーウェーは街中を通っているので、街中の10Km程度の移動でも信号待ちを避けてフリーウェーに乗ってしまうのです。また病院などもフリーウェーの出入口近くにあるように思いました。

一方、日本では都市間移動が基本なのか、高速道路が町の中心を避けて通っています。(東京、名古屋、大阪には別に環状道路が作られています)そしてインターの間隔は20 - 30Kmも離れています。つまり高速道路と一般道は別のもので、一般道の渋滞がひどいとバイパス道路という無料の高速道路もどきの道路を別に作る事になるのです。

高速道路を無料化すれば料金所が不要になり、インターも路肩道路を改良すれば、もっと多く作れるでしょう。将来に向けて考えなければいけないのは、信号がないという高速道路の特性を生かした、一般道との相乗効果を上げる新しい使い方なのではないでしょうか。

コーチング

心構え

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15年ほど前に私が日本企業から転職した外資企業では、社内教育が重視されていました。その会社がITアウトソーシング(企業や行政の情報処理システムの構築や運営を一括して請負う)を主業務としており、業務の質が業務に携わる社員の質に依存していたからだと思います。

専門技術教育に先だった、まず会社の価値観、ポリシーなどの教育に合わせリーダーシップ教育がありました。これは日本企業の管理者教育とは少し異なり、リーダーシップ教育と言っても上意下達の管理手法ではなく、チームメンバーとしていかに効果的に仕事し、チーム目標を達成するか、その時の行動指針、考え方といったものです。もちろんチームの中でチームを引っ張っていくような場合を想定した指導法も含まれました。しかし、それは日本的な適切な指示、命令を如何に行うかではなくコーチングと呼ばれるものでした

コーチングはスポーツ選手のコーチの指導のように「人(同僚)を目標達成に導く」手法で、動機付けを重視し、人が自ら気づいて、自ら問題を解決してゆけるように、如何に方向付けるかという技術です。当然人によって目標達成を阻害している問題は違うので、画一的に何かを教育すれば良いというものでもなく、永続的な上下関係の中での指導でもないので、一方的に解決策を与えるのではなく、適切な解決策を生み出せるような思考回路作りを支援しなければなりません。

いくつかの指針を挙げると、

1.  批判をするのではなく、現状の問題に気付かせる

2.  他のやり方がなかったか考えさせ、選択肢を増やす癖をつける

3.  決めつけている事があれば、取り除いてあげる

4.  主体性を重んじ、進捗状況を自己チェックする癖をつける

5.  簡潔な報告ができるようにする

6.  一つの事実にも複数の見方がある事に気付かせる

7.  目標を示すだけでなく、そこに至るヒントを提示する

8.  実施可能な小さな変化を提案する

などで、複数の選択肢から適切な策を実行し、過ちは即座に認め、訂正し、失敗から学ぶ、という主体的行動パターンの確立が目標です。

カリキュラムに応じて決まった事を教えれば良いのと違い、反応に応じて、いろいろな角度から次に与える刺激を考えなければいけないので、時間はかかりますが人を育てるという点では急がば回れのようでした

ジャガイモ

体験レポート

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朝晩めっきり涼しくなってきました。北海道は既に実りの秋なのでしょうか、親類から自宅でとれた男爵と北あかりという二種類のジャガイモが送られてきました。早速塩ゆでして、そのままの味を楽しみました。

日本には80種以上のジャガイモがあるそうですが、男爵と北あかりを比べると、男爵は丸っこく、皮は厚みがあり、身は白く、比較的きめは粗いように思います。一方北あかりは少し扁平で、皮はうすく、身は黄味がかって、きめは細かく粉のようです。もちろん味はどちらもおいしいと思いますが、男爵が淡白な味だとすれば、北あかりは少し甘みを感じるようです。

料理上の違いは男爵よりも北あかりはゆで時間が少なくて良く、ゆで過ぎると、身が崩れやすいようです。栽培上の違いは男爵が土壌の線虫の害を受けやすいため、線虫に対する耐性を高めて品種改良した(1987)ものが北あかりだそうです。

このように品種も多く、日本国中で栽培されているジャガイモですが、男爵ジャガイモの名前が示す通り実は外来の食材です。そもそもジャガイモは中南米原産で1570年ごろインカ帝国の財宝と共にスペインが持ち帰り(略奪して、と言うべきでしょうか)16世紀末から17世紀にヨーロッパ各国に伝わり、寒冷で痩せた土地でも栽培できる事から、各国で飢饉に備えた食料として麦、米、トウモロコシと並ぶ四大作物になったそうです。近年では北朝鮮の有名な指導者がジャガイモ栽培を奨励し食料危機を救った、と称賛されていると聞きます。(なんでも自分の手柄にするポジティブさには頭が下がります。)

さて日本には1600年ごろオランダ人がインドネシア経由持ち込んだそうです。このためジャカイモの名前の由来の一つの説として、インドネシアのジャカルタが当時ジャガタラと言われていたことから「ジャガタライモ」から変化したという説もあります。

一方明治に輸入された男爵ジャガイモは、造船技術者で函館船渠再建に尽力した川田龍吉男爵が、本業の傍ら農業経営に着手、明治41(1908)イギリスから輸入したいくつかの品種のうち好成績をあげた「アイリッシュ・カブラー」という品種が男爵薯と呼ばれるようになったそうです。

ジャガイモなど日常馴染んでいる食材でも外来のものは多く、長い国際交流(ある時は侵略)の歴史を感じつつ、美味しくゆでたジャガイモを味わう夜でした。

閣僚記者会見

社会問題

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とうとう鳩山民主党代表を総理とする内閣がスタートしました。昨日24時過ぎに閣僚の記者会見が始まりましたが、閣僚全て自分の言葉で会見をするという新しい試みにも、ワクワクしました。残念ながら質疑を含め10分以上の閣僚もいて16閣僚全ての会見を見ているわけにはいきませんでしたが、既に政府インターネットテレビにビデオがアップされているので今週末にじっくり見てみたいと思います。(NHKのサイトにも会見はアップされていますが、記者との質疑の部分がバッサリとカットされています。)

今回の衆議院総選挙ではマニフェストが定着し、各政党の公約を文書で確認出来たのは良かったと思います。確かに各候補者が公約を語るチャンスは少なく、名前の連呼だけではだれに投票するかは判断しがたく、感じの良さや、知り合いに頼まれたから、というような理由で投票がおこなわれても仕方がなかったと思います。また政治家が当選した後、公約とは違う行動を取っても批判のしようがなかったという事も是正されてゆくでしょう。

そして総理を含め閣僚が自分の言葉で、自分の考えを述べる、という手法も習慣として定着してほしいと思います。とくに会見の後、しっかり記者と質疑をするという心構えが重要でしょう。官僚の書いた台本を淀みなく読みあげられても大臣の考え、大臣の資質は分かりません。また短い言葉だけピックアップされたニュースではその人の実際の人格を見ることにもならなかった、という経験を十分しました。これからは政治家に緊張感を持って、記者会見に臨み、国民に語りかけ、たとえ予想外の質問にも真摯に応えてほしいと思います。

ところで、この記者会見ですが、記者の皆さんにも改善してほしい事があります。質問の内容を明確にするのはもちろんですが、質問の時に「あのぅ」「そのぉ」「えー」といった意味のない間投詞を挟まないように、しゃべり方の訓練をしてほしいと思います。それが政治家と対峙するプロフェッショナルとしてのプライドになるのですから。

 

政府インターネットテレビ閣僚会見

http://nettv.gov-online.go.jp/index.html

うどん屋と介護施設

体験レポート

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東京の根津、上野の不忍池を右に見て地下鉄千代田線の根津駅周辺には戦前の面影を残す区画があります。その中にうどん専門店の釜竹(カマチク)があります。釜揚げうどんとざるうどんに絞った専門店です。大阪が本店で二代目が根津で2005年に開業したそうです。明治時代の木造屋敷にあった石蔵にテラスを新設した設計は建築家隈研吾(クマケンゴ)氏の作と言います。

石蔵を利用した店の作りもさることながら、つやがあり、腰の強いうどんは格別で、たっぷりの薬味もネギ、揚げ玉、生姜、七味トウガラシと4種類、たっぷりあって有り難く。一気に食べてしまいます

場所が表通りから一本入っているので分かりにくいですが、同じ敷地に指定介護保険特定施設(いわゆる老人ホーム)ウイーザス根津があるので、近くでウイーザス根津の場所を聞けば良いでしょう4階建ての一階が食堂になっているのですが、初めはそちらも釜竹のお店なのかと思ってしまったほど、中庭を共有したつくりは周囲の木造住宅と調和しています

もちろん都心の上野公園に至近の根津ですから超高級の老人ホームで普通の人は入居できそうにありませんが、広々と緑あふれる、旧屋敷時代の池や古木を残した庭園を見ながら食事を取っている老人たちは幸せそうでした。また家族なのでしょうか、見舞いの人が車いすの老人を連れて釜竹に入ってきて、皆でうどんを注文していました。車いすでも美味しいうどんを食べに行ける、と思えるところに入所できる老人は幸せな事でしょう。さらに見舞いにくる家族こそ一緒に美味しい食事が取れ、幸せなのかもしれません

父が子に教える昭和史

お勧め

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今年の8月ですが、「父が子に教える昭和史」という新書(740)が文芸春秋から出版されました。副題は「あの戦争36のなせ?」となっており、本の帯には「日本はなぜ負ける戦争をしたの?」という典型的な質問が掲げられています。

内容は2003年、2004年に月刊文芸春秋に掲載されたものをまとめたものですが、教科書では教えられない数々の事件や事件の背景が、戦前・戦中篇が20テーマ、戦後篇が16テーマ、各テーマ6ページほどにまとめられています。各テーマを一人ずつ“日本を代表する知性がズバリ答える”という事で、一人の考えに毒される危険はありますが、押し並べて事実に基づいた説明がされているので、一つの見方として落ち着いて読めるように思いました。

私の印象に残ったテーマを副題と私の一言コメントと共に紹介すると、

「満州事変」日本の侵略なのか?           そもそも侵略とは何か

「朝鮮統治」植民地化=悪か?            帝国主義を肯定するのではなく、歴史事実を多面的に理解するために

「日独伊三国同盟」なぜ英米を敵に?      楽観的予測の危険性

「海軍善玉説」陸軍だけが悪いのか?      もともと陸軍と海軍の予算分捕り合いが戦争への道

「東条英機」日本の独裁者だったのか?    有能な官僚の典型=責任感なし

「昭和天皇」戦争責任とは何か?          立憲君主制の機能不全

「引揚げ」満州からの帰路になにが?      未帰還者の慰霊祭はないのか

「シベリア抑留」60万人抑留の真実は?    検定合格教科書の説明は3行のみ

「北方領土」無法者スターリンの暴挙は?  上坂冬子さんの明快な論調

「朝鮮戦争」金日成はなぜ仕掛けたのか?  現在を理解するためにも朝鮮戦争を知らずには済まされない

全てとは言わないまでも、半分のテーマが参考になれば740円は安いと思います。

いつまでに決めるかを、決めれば良い

助けられた言葉

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今回は先輩の教えではなく、本で教わった助かった言葉です。

会社に入って10年ほどたち、ソフトウエアを開発するようになった頃、どのようなソフトウエアを開発するのかを決める仕様書を書くことになりました。しかし何から、どういう順序で書いたら良いのか分かりません。人に相談しようにも同じようなソフトウエアを開発している人がいなかったので相談にしようがありません。

いろいろ探して見つけたのが伊藤健一という方が書かれた本でした。伊藤さんは大正12年生まれ、昭和20年に東大工学部を卒業し、東京芝浦電気(TOSHIBA)で電算機や医療機器を開発した電気技術者で、本を書かれた時は東京農工大学の教授でした。本は仕様書シリーズと言い、仕様書の作り方、見積もりと仕様書、設計変更と仕様書の3部作です。初版は昭和54年ですから30年以上の技術者経験を集大成されたのでしょう。

参考になった事は、例えば

まず目次を作りなさい

仕様書に限らず、何かの話題を文章にまとめようとした時、思いつくままに書くと、とうぜん話が飛んだり、飛躍が大きくなると、読者には分かりづらくなってしまいます。最悪、話が発散してまとまらなくなってしまいます。これでは仕事になりません。そこで伊藤さんは、まず内容を書くのではなく目次を書いて、その後項目ごとに内容をまとめて書きなさいというのです。もしその項目単位でも内容がまとまらないのであれば、まとまらない項目の内容の前に一段細かいその項目の目次を先に作るようにします、こうすれば全体を押さえながら内容をまとめることができます

ところが不明点があったり、検討不足などでどうしても内容が書けない時があります。しかし仕事では不明点を調べていたり、時間をかけて検討できない場合があります。その時どうするか、不明点に目をつぶったり、検討不足のまま仕様書をまとめるわけにはいきません。ここが「目から鱗」だったのですが、伊藤さんは

決められない事は、決められない項目を明確にして、それらをいつまでに決めるかを決めて書いておけば良い

というのです。内容を書く必要はないので気が楽になります。何が不明か、どんな検討が残っているかを整理すれば、それらを調べるのに、残った検討するのにどのくらいの時間が必要かは、おおよそ見当がつくので、それを書いておきます

こうすれば仕様書を予定通りに完成し、社内の人や顧客と打ち合わせすることができます。そして順次仕様書を改定すれば良いのです。このやり方は仕様書作りだけでなく、いろいろな場面の仕事の進め方に応用できます

官僚たちの夏

社会問題

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TBSドラマ「官僚たちの夏」(日曜夜9:00)の第二部が始まりました。城山三郎の小説をドラマ化したもので佐藤浩市などの好演だけでなく、CGも使って昭和30年代の風景を再現して、評判も良いようです。城山三郎の原作でもあり、肯定的で明るいストーリーなのも今の時期に喜ばれているのでしょう

確かに当時の官僚が日本の復興、経済成長を主導したのは事実です。しかし、その流れの延長線上に現在の官僚制度の閉塞状態もあるので、ドラマを小説として楽しむだけでなく、今後の官僚に何を期待するのかも、わすれずに考える必要があると思います。とは言え、主人公風越信吾のモデルと言われる佐橋 滋(さはし しげる)氏のような官僚が見当たらないのはどうしてなのでしょう

私が佐橋氏を知ったのは既に氏が当時の通産省を退官したあと、1972年「余暇開発センター」の初代理事に就任した時のテレビインタビューでした。まず、大阪万国博覧会が終わり高度成長中の当時「余暇開発」を異質に感じました。またこの理事長職が次官職経験者として数多の天下り先を断っての事だと言われた事も興味を引きました。

氏の略歴を見ると、氏は19664月に通産省を退官し、1968年佐橋産業経済研究所を作り所長に就任、並行して競輪の利益金の一部を補助金として、新日本製鐵など民間企業五社の支援を受け1972年に余暇開発センターを設立し理事長に就任しています。氏の統制経済手法(国家主導の産業育成)は経済復興期と高度成長期以降で評価は分かれますが、退官後政官財界から距離を置き、時代を見越した問題(余暇の増進)に取り組んだのには爽快な印象を持ちました

佐橋氏の評価も高度成長期には企業の自主性を抑圧すると批判されたように、官僚に期待される役割は時期により変わります。現在の多くの良識ある官僚には、政府と協力して経済成熟、グローバル化、少子化時代に合わせ日本をより良くするための実務者としての役割を再発見し、爽快な印象を持てる仕事をしてほしいと思います

どの問題も、もう待ったなしで、解決に向けて進まなければいけないのですから。

鹿

社会問題

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写真は私の父が趣味で集めた各地の観光土産の中にあった鹿の人形です。私の子供の事には実家にあったように思うので、もう50年くらい前のものでしょう。どこで買ったものか、父が生きているうちに聞いておけば良かったのですが、今となっては調べようもありません。多分、表情の穏やかな所だとか、座った小鹿(?)とペアになっている所などから想像すると、有名な奈良の若草山あたりのものでしょうか

鹿は日本では古くから生息していたそうで、縄文時代の人々の主な狩猟対象は鹿と猪だったそうです。元々「シカ」という言葉自身、肉を意味する「シ」と毛皮を意味する「カ」の合成語だそうです。今では動物園や公園でした見ない鹿ですが、かつては人々の生活と密接につながっていた動物なのでしょう

と思っていたのですが、今年5月北海道を旅行した時驚きました。関東でも山間部に行くと道路に鹿注意の標識を見ることがありますが、まず実際の鹿に出会った事がありません。そんなつもりで夜、占冠(シムカップ)からトマムに向けて走っていたところ、突然二頭の鹿が前方に現れました。危うく一頭に衝突するところでしたがフロントガラス越しに見た鹿は大きく、セダンの車高よりはるかに高いところから見下ろされてしまいました。多分小型の馬と大差はないかもしれません。もし正面衝突していれば車は大破したでしょう。かわいいだけでない鹿を実感しました

聞いてみると北海道では鹿と衝突する事故が多いと聞きました。私が出会った山の中だけでなく、千歳あたりの住宅地でも時期によって鹿が現れることがあり、人間は死ななかったけれど車は廃車になった、というような事故が珍しくないそうです

人間が鹿の居住地に入り込み過ぎたのかもしれませんが、鹿の頭数が増えてしまったのかもしれません。事実北海道では昔のように鹿を食べようという事で、新しい調理法の開発なども行われています。試しに鹿のカツレツを食べてみましたが、柔らかくスジも無く、値段も手ごろで、鹿の大きな黒い眼を思い出さなければおいしく食べられるものでした。

動物愛護と食用捕獲は難しい問題で白黒を明確に分けることができません。今和歌山県の太地(タイジ)町ではイルカ漁が非難の的になっています。知能の高いイルカを食用に捕獲するとは虐殺と変わりないのではないか、という非難です。しかし知能の高い低いが白黒の基準でしょうか?かわいいと言えば鹿も牛も、豚も鶏も可愛いのです

本の楽しみ

お勧め

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アメリカに出張した時の楽しみの一つは本屋で面白い本を探す事でした。だいたい月曜日について金曜日に帰る出張なので休みの日はないのですが、仕事場とホテルだけでは気分も変わりません。そんな時本屋は夜遅くまで開いている所があるので、夕食の後立ち寄るのに好都合でした。

本を見るといっても、分厚い小説や新刊書(どういう訳かアメリカのこの種の本は厚い)を手に取る気にはならないので、写真や絵の多い実用書を見ることになりますが、これが面白い

日本の実用書、How to (ハウツー)本は具体的な結果を得ようとする人を真面目な読者を対象としているようで、生真面目な本がほとんどですが、アメリカの実用書は結果を求めるというよりも、筆者が会得した事を誇らかにまとめた、というような著者は真面目だけれど、それがどうした!というような事柄で気楽に楽しむことができます

例えば左のロープの結び方の本は、20年以上前に買ったように思いますが、日常生活で使う4,000以上の結び方から世界水準の最も役に立つ25種類を厳選した「不器用な人の結び方教本」で、写真にあるように表紙に青と赤のロープが付いていて、本の中の結び方を実地で試すことができるようになっています。

内容も図解が分かりやすく、英語を読まなくても分かるくらいです。確かにテントの支柱の固定や、靴紐の縛り方、ロープのつなげて長くする結び方、車の荷台に荷物を固定する結び方、など実用的なものから出来たら鼻高々という結び方まで、見ているだけで楽しくなります

日本ではほぼ規格通りのサイズや紙質の本しか本屋には並びませんが、アメリカでは規格外のサイズの本(摩天楼を扱った本は縦42cm、横20cmでした)や紙質の変わったもの、例に挙げたおまけが付いているような本まで、個性豊かな本をよく見かけます

また再販制度ではないので、新刊書が半年もすると安売りされます。安売りでも売れ残ると半値以下になるので、個性的な本も何とか売りつくせるのでしょう。私は安売りコーナーを真っ先に物色し、掘り出し物を見つけた時は帰りの荷物が重くなるのも忘れて買いこんでしまいます

最近、本はネットで買う事が多くなりましたが、思いがけない本を見つける喜びは本屋でしか味わえません。今年は規格外の野菜が見直されましたが、日本でも敢えて規格外の本を作る余裕ができて、本屋でそれらを見かけるようになると、楽しみも増えるのではないかと思います