Profile : 高度成長期に学生時代を過ごし、オイルショックで就職に苦労するも、右肩上がりの80年代をモーレツ社員の一員として働き、気がつけばバブル崩壊、希望退職で外資企業に転身して14年。
「世界の中の、明日の日本と日本人」をテーマにしている56歳。
- December 2009 (15)
- November 2009 (15)
- October 2009 (16)
- September 2009 (14)
- August 2009 (15)
- July 2009 (15)
- June 2009 (16)
- May 2009 (16)
- April 2009 (22)
- March 2009 (9)
- February 2009 (13)
- January 2009 (14)
なるほど
体験的営業技術
ビジネス » 職業
お客様との商談で、お客様と意見が食い違った時にどうするか、営業手法に違いの出る場面です。1)ある人はお客様を怒らせてはいけないので、お客様の意見に反論せず聞き流す。2)ある人は自分の考えが正しいという自信もあって、「いや、違います。」と言って反論を始める。3)ある人は、意見の食い違いが広がるのを避けるため、話題を変える。
相手はお客様ですから、どんなに自分が正しくても相手に嫌われては、商売には成功しないでしょう。従って2番は適切とは言えないでしょう。だからと言って1番のように聞き流すだけでは、相手からの信頼は得られません。3番のように意見の食い違いをウヤムヤにしては、相手との関係は深まりません。
この場面でしなければいけない事は、相手に自分とは違う考えもある、と気付かせることです。ですから「それは違う、あなたは誤っている」という必要はありません。「あなたは間違っている」と言われて、謙虚にどこに誤りがあるのだろうと反省できる人はほとんどいないでしょう。防衛本能が働いて、反論に反論しようとします。これでは争いがエスカレートして、会ってくれなくなってしまうかもしれません。
このような時には、まず何でも良いから「なるほど」と肯定的な相槌を打つのが良いでしょう。それも「な~ぁるほど」というような抑揚で思いもよらない事だという感じを出すと良いでしょう。肯定的な反応ですが、相手の考えに同調したわけではありません。あくまで貴方の考えが分かりました、という意味の「なるほど」です。議論の上では大した意味ありませんが、肯定的な反応で相手を落ち着かせる事が出来ます。
そして一呼吸置いた後、「しかし、このような時はどうなるのでしょう」とか「でも、これはどうなりますか」というような反対の考えに結び付く疑問を提示すればよいのです。これで相手が誤りに気が付けば万々歳ですが、気が付かなければ「こんな事も考えられるでしょう」と反対の考えをほのめかせれば、目標は達成です。日を置いて、相手に確認すれば考えは変わっているハズです。万一考えが変わっていなくても、お互いに前回より歩み寄った立場で意見の食い違いを議論できるでしょう。
オウム返し話法
体験的営業技術
ビジネス » 職業
「聞き上手になりなさい」とは、良く言われることです。確かに営業でも、信頼される営業は自分が話す量より、相手に話させる量が多いようです。反対に「立て板に水」の営業マンの成績が良いとは限りません。
聞き上手になりたいと思っても、相手がしゃべってくれない人の場合、沈黙が怖いのでついつい自分でしゃべってしまって、打ち合わせ時間は終わってしまったという事があります。またはYes、Noの返事を聞くだけの打ち合わせになってしまい、相手の返事に確信が持てなくなる事があります。
寡黙な人にしゃべらせる上手い手はないか。沈黙の恐怖に耐えて自分からは話をしない方法はないか。Yes、Noだけでない相手の考えを確認する方法はないか。いろいろ考えて試したところ、良い方法はオウム返しでした。例えは何かの商品の説明をしたとします。いろいろ利点を説明して好きか、嫌いか、必要か、必要ではないか、聞こうとします。
「いかがですか、ご説明したようにいろいろ利点がありますが?」
「…ピンとこないなぁ…」
ここで、普通は「いやぁ、失礼しました。ご説明が悪かったですか」とか「やはり、こういったものは必要とされていませんか」とか、自分から喋ってしまう事が多いでしょう。しかし自分から喋ってしまうと、話は次につながりません。ここは相手に喋ってもらわなければなりません。そこで、
「ピンとこない」と音程を下げてオウム返します。
自分の喋った事をオウム返されると、十中八九は言葉を変えて喋ってくれます。この場合では「あそこの説明の意味が分からない」とか「私はそういう事は興味ないし」とか、何がピンと来ないのか説明してくれます。そこでこちら側の説明をするなり、再度「興味ない」とオウム返せば「だって、これこれこうじゃ意味ないでしょ」などと、相手の考えに徐々に近づく事が出来ます。もちろん「では、何ならピンとくるのですか」と真正面から質問しても良いのですが、友達づきあいでない限り「そんなこと君に教える義理はない」で話が終わってしまう危険があります。
相手の神経を逆撫でず、相手の懐に忍び込んで、相手に沈黙の恐怖を与えて喋らせる。そのためにはオウム返し話法が役に立ちます。
プロアクティブ
体験的営業技術
ビジネス » 職業
技術者から営業として入社した外資企業では“プロアクティブ”という事がたびたび言われました。“プロ(前の)”+“アクティブ”ですから、直訳すれば「事前に行動を起こす」といった意味になります。何を売るにしても、待っていては売れません。かと言って、自分から働きかけるのは勇気がいります。企業に入って会社の製品を店頭で販売する新人研修で大阪に派遣されました。なかなか売れず、生きた心地がしませんでした。しかしお陰で店頭でのビラ配りから、看板作り、戸別訪問と「慣れ」てゆき、3か月終わった所では例年並みの売り上げには達しました。
技術者という立場でも展示会での商品説明や、営業サポートとしてのお客様との打ち合わせなど、新人研修の時の経験は大いに助けになったのですが、一方的な説明で終わって販売に結び付かない事は多かったと思います。その内、当然「先を読む」ようにはなりました。先を読んで、お客さんの聞いてきそうな事を説明書の中に事前に入れておく。目的がハッキリしている、事前に分かっている技術打ち合わせの場合は、このやり方は有効です。これは一種の”プロアクティブ”している事になるでしょう。
しかし、営業となると事前にお客様の関心を2、3予測してもお客様の関心がそこに無ければ、役に立ちません。予測の数を増やすといっても、予測ばかりに時間をかけるわけにはいきません。では営業の”プロアクティブ”とはどうすればよいのか。私の理解では、予測した事は一度忘れてお客さんの話を良く聞き、理解したお客様の関心と自分の予測とのズレをその場で埋めていく事だと思います。もし、その場でズレを埋める良い案が見つからなければ「申し訳ありません。そこまでは考えていませんでした。XX日までに検討して出直します」と言えば良いのです。
相手の関心を予測するのには限界があります。正確に予測しようとすると外れる確率も高くなります。相手から予想外の反応が返った時にお手上げでは何にもなりません。それよりもある幅を持った”方向”を考えた方が、外れない確率が高くなるでしょう。お客さんのより高い関心(期待感)が何かを掴み、自分が販売する製品が持つ可能性とその期待感を結び付ける、そのための準備をする事が営業の”プロアクティブ” だと思います。
お客様が聞きたい事を、語る
体験的営業技術
ビジネス » 職業
お客様に製品を説明する時、売り手の思いであれこれ製品を語り、熱心に説明するのですが、結局製品は買ってもらえず「物が良いから売れるとは限らない」と自分を慰める時がありました。
後年、セールス手法のトレーニングがあり、「製品を売るのではなく、ソリューション(お客様の抱えている問題の“解決策”)を売るのだ」という事を教えられました。つまりお客様がどういう問題を抱えているのかを知ることが第一歩だという訳です。確かにコストダウンにしても、時間短縮にしても、お客様の現状に何も問題がなければ、どんなに最新のすばらしい製品でもお客様が“ほしい”と思う事はありません。
例えば、設計時間の短縮が現状の問題だと分かれば、提案しようとする製品が設計時間の短縮にいかに役立つかを説明します。そのため役に立ちそうな機能をたくさん語ろうとします。しかし、私の経験ではここで重要なのは機能の多さがではなく、相手が期待している事が可能かどうかです。つまり物を買おうとする人は、既に自分で問題解決のためのアイディアを何かしら検討していて、それを実現してくれる製品を探している。だからいろいろ機能を並べ挙げられても、自分のアイディアが実現できるかどうか知りたいので、それ以外のための機能は余分でしかないのです。
もちろん、提案している製品がお客さんのアイディアよりも良い事が実現できる場合もあるでしょうが、そのような検討を最初にお客様に求めるのは高望でしょう。自分のアイディアが実現できるという事が確認されて始めて、別の可能性を検討する余裕が出るというものです。既にお客様が検討した所から出発するのが一番自然です。
ですから、ソリューションを語るためには、自分のシナリヲを語るのではなくまずお客様は何を聞きたいと思っているのか、を聞き出す必要があります。その期待している事が実現できる事をまず語れば、以後の製品説明もスムーズに相手の耳に届き、製品の良さを分かってもらえるだけでなく、問題解決に協力してくれるという信頼も得ることが出来るのです。
営業手法
体験的営業技術
ビジネス » 職業
15年ほど前になりますが、技術職から外資企業の営業職に転職した動機の一つは、それまで勤めていた会社の営業方針・方法への疑問でした。
成功した製品、成功した販売手法にこだわる営業部門と、新しい製品を出したい技術部門とでいろいろと議論を重ねましたが、営業経験のない私が営業部門を説得するのは困難でした。そこで違った環境で営業を経験してみたい、と考えたわけです。
それまで何かを販売した経験はありませんでしたが、技術として営業活動の一翼を担った経験はあり、営業として何をしなければいけないか、という自分なりの考えはありました。とはいえ私はその後の仕事の中で、営業の「手法」を身に付けたといって良いでしょう。
一方、最近は「手法」の勉強が盛んで、営業についても
1. 見込み客の選択
2. 見込み客へのアプローチ
3. 販売する商品のプレゼンテーション
4. 顧客から注文を受ける
といった作業手順として勉強している人がいます。例えばアプローチでは顧客との信頼関係を築かなければいけない。プレゼンテーションでは現状の問題を指摘し、顧客と問題を共有する。といった具合で、それぞれ正しいとは思いますが、現実には相手(顧客)側の都合もあるわけで、1、2、3とこちら側の手順を進めれば、受注に繋がるという訳ではありません。
手順を理解する事は大事ですが、それぞれの段階の目標を理解し、その目標に到達するための、いろいろな手立てが考案できるようになる事が、手順を理解するという事です。それには頭で考えるだけでなく、実際の顧客対応の中で試行錯誤し会得するしかないと思います。
そこで、営業の技術について私が感じた事、経験的に有効と思う方法をまとめてゆきたいと思います。「手法」を勉強しても現実とのギャップの中で戸惑っている人たちの参考になれば幸いです。